平成29年6月の通常国会において、信用保証制度を定める中小企業信用保険法が改正されました。
信用保証制度とは、信用保証協会が中小企業の借入金を保証するもので、もし会社が借入金を返済できなくなった場合に、
中小企業の代わりに保証した借入金を金融機関へ弁済(代位弁済)し、その後は中小企業と相談して代位弁済した額を
回収していくものです。
この信用保証制度がある事で中小企業の資金繰りを支え、倒産の防止に役立っています。
しかしながら、信用保証制度に過度な 依存が続き、金融機関にとっては、事業性評価融資や、その後の期中管理・経営支援への
動機が失われるおそれがある事や大規模な経済危機、災害等により信用の収縮が生じた場合における資金需要等に
一層対応できるものとしていくことが重要とし、今の信用保証制度のあり方について再検討する必要が出てきている。
というのが今回の信用保証制度改正の背景です。
具体的にはどんな見直しかというと
・セーフティネット機能について
大規模な経済危機等発生時の救済措置と、平時に不況業種を支援する機能を切り分けること。
通常の保証額とは別枠で100%保証が受けられるセーフティネット保証のうち、不況業種を対象とする5号
については、保証割合を100%から80%に改正。
また、大規模な経済危機等の発生に備えて、迅速に発動できる新たなセーフティネット保証
(通常の保証枠とは別枠で100%保証)を整備。
・責任共有制度について
責任共有制度における「一律80%」の保証割合を変更せず、信用保証制度への依存を回避する為、
プロパー融資を含めた債務者への融資全体で実質的にリスクを分担します。
・創業期の支援充実
創業者が手元資金なく100%保証を受けられる限度額を、現行の1,000万円から2,000万円に拡充。
・保証協会が他の金融機関を紹介
メインバンクがプロパー融資に応じられない場合には、信用保証協会が他の金融機関を紹介する取り組みを
導入、また民間金融機関の対応が困難な場合、日本政策金融公庫等が対応する方針です。
などがあります。
では、今後の中小企業の対応はどうするか?
それは、中小企業のライフステージ(創業期⇒成長期⇒成熟期⇒衰退期)によって違います。
例えば、成長期、成熟期にある企業は成長とともに信用保証への依存度を下げ、
保証・担保に依存しないプロパー融資(事業性評価に基づく融資)を確保する事。
また、リスケジュール中の企業は「経営改善サポート保証」制度の活用。
今後、企業としては、取引先金融機関とのコミュニケーションが 重要になることは言うまでもありません。
また、今後の金融機関及び資金調達計画・対策について 検討する必要があるでしょう
株式会社大成経営開発 岡村泰