遺言書に関するご相談は近年増えてきました。
- 遺言書の作成の仕方
- 遺留分の計算
- 遺言書の執行
などがありますが、中には仮説を立てて作成された遺言書もありました。
例えば、「自分が先に亡くなった場合には、妻に」や「Aが先に亡くなった場合は、Bへ」といった感じで作成されていました。
遺言書の内容も様々です。
さて、先日のご相談ですが、
「夫が亡くなりました。遺言書がありますが、遺言書と違う財産分与は可能でしょうか?」とのご相談でした。
その内容とは
「すべての財産を妻に相続させる」との遺言です。
相続人は妻と子供2人の3人、子供達への財産分与はありません。子供達は遺言書に納得しているとの事でした。遺言書は、遺言者の意志であり、優先されるべきものであります。
もし、遺留分に満たない場合、相続人(直系尊属)には、遺留分権利者として“遺留分の減殺請求”をすることが出来ます。
しかし、相談者の妻は子供達2人にも財産分与をさせたい。理由は、それぞれに住宅ローンや車のローンなどを抱えており、生活も裕福とは言えないから父親の財産を分けてあげたいとの事です。
答えは、出来ます。です。
相続人全員が納得し合意した遺産分割であれば、遺産分割協議書を作成し分割をする事は可能です。
ご相談のケースでは、相続税の課税がありませんでした。
では、相続税の課税金額が基礎控除(9000万円)以上の時は、どうするか?相続税の事を考えれば、遺言書通り、妻に相続した後に子供達へ贈与をする事も選択肢として考えられます。
また、生前中に一度作った遺言書を取り消す事は可能です。いつでも遺言の全部または一部を取消(撤回と言います。)したり変更することが出来ます。
公正証書遺言書を撤回する場合は、公証人役場で撤回の公正証書遺言書を作成するのが必要と思います。
遺言書が複数ある場合には、日付の新しいものが優先されます。しかし古い日付のものが無効というわけではありません。遺言の内容で、くい違う部分のみが新しい遺言書が優先され、その他の部分については古い遺言書が有効になります。
株式会社大成経営開発 岡村泰