特別寄与請求権の創設

3月号の民法改正で、“特別寄与請求権の創設”との記事を書かせてもらいました。


“特別寄与請求権の創設”とは相続人でない親族も相続財産を受け取る事が出来る制度です。

これまでの法律では、どんなに長男の嫁が、被相続人の介護をしたり、家族経営店(農業など) の手伝いをしたとしても、相続財産を受け取る事は出来ませんでした。しかし今回の創設により、被相続人に対する貢献を考慮する事により、相続における遺産分割をより公平にする為に相続人以外にも一定の財産を請求できる権利を与えました。

施行日は2019年7月1日となる予定です。

■特別寄与料を請求できる人は?

請求できる人の範囲は、法制審議会で色々議論があったそうです。例えば内縁の妻などの全くの
第三者まで広げるのか、親族等の身内にするかなどです。結果的には、被相続人の親族(6親等内の血族、
配偶者、3親等内の姻族)となりました。

■特定寄与の範囲


特定寄与の場合は、相続人に対して認められる寄与分の範囲より狭く、「療養看護その他の労務の提供」に
限定されます。

■特別寄与料の負担


負担割合は、民法に定める法定相続分又は指定相続分です。
例えば、法定相続人が長男と次男の場合で長男の嫁に特別寄与料200万円払う事になった場合の
負担金額は、長男100万円、次男100万円、長男の嫁に支払う事になります。

■特別寄与料の請求の期限


被相続人の亡くなった事を知った日から6ヶ月以内、又は、被相続人が亡くなってから1年以内のいずれか 早い方。

■特別寄与料の税金


相続税が課税されます。
また、被相続人の配偶者または一親等の血族以外の者であることから、相続税の二割加算となります。

■特別寄与料の請求額


金額の目安としては、「療養介護の日当分×日数」で数百万円程度また、特別寄与料を認めてもらうためには、被相続人への貢献度合いを考慮してもらえるだけの判断材料が必要となることが考えられます。
判断材料として、日付や金額などの詳細、介護日記などの日付のある記録は効果的です。交通費やおむつ代などの実費に関しては、レシートや領収書で記録を残しておきましょう。 また、それらを兄弟姉妹などの相続人と共有しておくとさらに効果的です。

以上の事が特別寄与料の概略ですが、
特別寄与料を認めてもらうには、簡単ではありません。
特別寄与料を認めてしまうと寄与料と同じく、相続人への
分け前が減る為、揉める原因になります。
よって、いかに生前にやっておくかが重要になります。
貢献した人への生前贈与や養子縁組も、揉め事を少なくする
方法だと考えます。

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