会計とファイナンス(前編)

今月は私の身を置いている世界の「会計」とその双子の兄弟と言われる「ファイナンス」について双子でありながら、まったく似ていないことについて話させて頂ければと思います。


会計の世界では、会社の状態をバランスシート(貸借対照表)で表現します。


左側(借方)には企業が持っているもの(資産)が記載されます。企業が持っているものには、現預金・在庫・工場や機械・車両・ビルや土地のような不動産、パソコンやデスクのような備品まで、多くのものが含まれています。


一方、側(貸方)にはこれらの資産を手に入れるためのお金をどこから調達したかを記載することになっています。したがって、左側(借方)と右側(貸方)の金額は、常に同じ(バランス)でないとおかしいことになります。


また、会社がお金を調達するルートは、銀行等から借入するか(負債)、株主に株式を買ってもらうか増資するか(株主資本・純資産)のどちらかですので右側(貸方)は負債と純資産の2つに分かれます。


ただここで、疑問点が出てくるのですが、なぜM&Aで会社を売買する際の金額や企業価値は会社の資産の額と一致しないのでしょうか?


その理由は、会計では目に見えない価値(無形資産)を反映しません。ここでいう無形資産とは、ソフトウェアや借地権、電話加入権のことでなくブランド力、顧客基盤、独自のノウハウ、人材のことになります。


銀座のブランド力を例にみますと、銀座のカフェは1杯1,000円以上するものがざらにあるそうですが、なぜ1,000円もするのでしょうか?会計的な見方は銀座は地価が高いからそのコストが上乗せされて1杯当たりの金額が高くなるという理論ではないでしょうか。


しかし、ファイナンスの考え方は反対で 銀座ではコーヒーの値段を高くしても売れる→高いコーヒーが売れるから他の場所よりも儲かる→お店が儲かるからビルのテナント料が高くなる→高いテナント料がとれる場所だから地価が高くなる→銀座というブランド力ということです。もしかしたら会計上の決算書のみで判断すれば地代家賃が高いことに捕らわれ地価が安価な場所へ移転することを決断してしまうかもしれません・・・


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